山口夢Official Blog

物書き(小説家・シナリオライター)の山口夢です。

【物書きの本棚】短編小説は盆栽を育てるように──横溝正史『悪魔の家』──

また読みました。

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今回は横溝正史『悪魔の家』。表題作の『悪魔の家』ほか6篇の短編ミステリーが収録されている1冊です。

ちなみに、私が愛してやまない探偵・金田一耕助先生は不参加。

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だからこそ、「まあ後回しでいいか」と思い、買ったクセに読んでなかったんですよ。っていうか、そもそもこの『悪魔の家』を買ったのも、金田一シリーズと間違ったパターンっぽいんですよね。

古書店で「わぁ~~~これ持ってない!!」と、テンションが上がり、よく確認もしないで購入した挙句、帰宅したあとに「あれ……?? これ金田一関係ない……??」とガッカリした1冊です。たぶん。(※ひどい)

 

しかし、この『悪魔の家』には、探偵・由利麟太郎先生が登場するのです!! 由利先生といえば、つい最近ドラマ化したばかりですよね!?

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不勉強なもんで、ドラマを観るまで由利先生シリーズを1冊も読んだことがなかったのですが、『悪魔の家』に収録されている『黒衣の人』に出てくるではありませんか!!

イメージがもう吉川晃司さん(笑)

ドラマで見られた弓道のシーンは、吉川さんに合わせて挿入されたシーンらしいのですが、その他、ドラマで描かれていた由利先生の特徴も、短編ではよく分からなかったところも多かったので、これはもう買うしかないですね!! 由利先生シリーズ!!

出るかなぁ、シンバルキック。(※絶対出ない)

 

ちなみに、由利先生の助手としてお馴染みの三津木俊助記者は、単独でも短編に登場するし、その際の相棒は、金田一耕助先生の相棒・等々力警部なんですよ!?!?

えっ、ふたつの世界線交わっちゃうの?????? 金田一先生と由利先生が共存する世界???????? あるの??????? 日本的同率1位の名探偵じゃない????????? ありがとう、世界!!!!!

金田一耕助 vs 明智小五郎」のようなスペシャルドラマはすでにいくつか制作されていますが、観てみたいですね、「金田一耕助 vs 由利麟太郎」。

 

とりあえず、私がウッハウハ(笑)

 

──ところで、昭和の頃に出版された横溝正史先生の文庫本には、巻末に中島河太郎先生の「あとがき」が寄せられています。

毎度、本編のあらすじに加え、執筆当時の横溝先生の様子が書かれているのですが、今回の『悪魔の家』で印象に残った部分はこちら。

(前略)著者は十一年からは療養中とも思えぬほど、旺盛な創作意欲を示されたが、この十三、十四年の両年には「人形佐七捕物帳」を連載し、「双仮面」、「仮面劇場」といった長編執筆にも堪えられるくらいで、見事に大病を克服されたのである。

その間、数多くの短篇が書かれている。著者の目ざましい復活ぶりに注目した各雑誌が争って依頼したのだが、妖艶怪奇的な作品、由利先生を探偵役とする謎解き、サスペンスを基調にした軽快な読物など、ストーリー・テラーを自認する著者にふさわしく、多種多様の彩りを見せている。

──横溝正史『悪魔の家』:中島河太郎、あとがき

病気療養中でも長編・短編ともに執筆する気概、胆力、情熱。

準備も含めて、たかだか漫画連載4本程度で働いた気になっている自分が恥ずかしい。「いずれはミステリー小説を書きたい」とか抜かしているクセに、短編の1本も書こうとしない私の、なんと情けないことか。

コロナ禍とはいえ心身ともに健康なら、仕事の合間を縫って小説も書き進めなきゃなりませんね。

 

そういえば、つい最近読んだ『藤子・F・不二雄 SF短篇集①:創世日記』のあとがきには、藤子先生自身の言葉で、こんなことが書いてありました。

(前略)僕にとってのSF短篇は、どちらかというと、プロ作家の意識よりも趣味的に描いていたジャンルです。そのためか、なにか一つ「タネ」を思いついたら、そのタネをいかに効果的に見せるかという、そこいらあたりが、僕が短篇まんがを描く時のポイントになるわけです。それは土壌の選択、タネをまく土を選ぶことです。どういう土が、その描こうとしているまんがに合うかどうかということは大切な問題です。いいかえれば、まんがの背景にどの世界を持ってくるかということです。

タネをあいた後は、ただのびるにまかせるのが、僕の常です。植物の茎が空に向かってのびていく。根っこが水に向かって土中をのびていく。そういった自然の展開を考えながら、この枝は本来の意図にそっているかどうか、この葉は本来の意図に必要であるかどうかを見ていきます。最初のイメージを基準にして、SF短篇としておさまりがいいように刈り取っていくわけです。いってみれば「盆栽」を育てているようなものなのです。

──藤子・F・不二雄藤子・F・不二雄 SF短篇集①:創世日記』あとがき

私も盆栽を育てるように、仕事の合間を縫って、意欲的な短編ミステリーを書いていきたいと思います。まずは、タネ探しかな。

 

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