ひじき煮。
定食屋の小鉢や居酒屋のお通しで、たまに目にするアイツ。
申し訳なさ程度に油揚げやニンジンの千切りが入っており、安い居酒屋なんかだと、ただでさえ小さな小鉢の底に、「食べ残しではなく??」と思うほど(もはや”盛る”という表現が正しいのかも分からんが)少量で盛られている、乾杯のビールにはもはや合っているのかも分からない、ヘルシーなアイツ。
私、あのひじき煮ってヤツが大好きでして!!(笑)
……嫌いなのかな?? って思いました?? 私も自分で書きながら、途中まで「あれ?? 私ひじきのこと嫌いだったっけ??」って思ってました(笑)
いいえ、大好きです(笑)
社会人1年目、テレビ制作会社のアシスタントディレクターをしていた頃、上司に連れてっていただいたランチで、「山口は好きな食べ物ってなんだ??」と聞かれ、「あー……ひじき煮ですかね??」と答えたところ、
「世の中にはもっと美味しいものがあるぞ!?」
と、励まされたエピソードを持っているくらいには、ひじき煮のことが大好きです。
今から考えると、あれたぶん「世界で一番美味しいものがひじき煮だと信じ切っているほど世の中に数多ある料理のほとんどを食べたことのない可哀想な子」だと思われてましたね(笑)
道理で、あのディレクターさんはよくランチを奢ってくれたワケだ(笑)
これは私と、おそらくは両親にも関わってくることなので、両親の名誉のために述べておきますと、それなりにいろんな料理は食べてきたし、食べさせてもらってきたつもりです。我が家は祖母⇒母⇒私と、料理好きの食道楽ですからね。
そして、この”親子3代料理好き”が今回のひじきにも関わってくるのですが、私が大好きなひじき煮は、母の作るひじき煮なんですよ。
私の母が作るひじき煮は、そんじょそこらのおまけで出てくるようなひじきとはワケが違いましてね、とっても具だくさんなんです。
油揚げとにんじんは言わずもがな、ほかには、しいたけ・こんにゃく・さつま揚げ、ちくわ・アサリの水煮・大豆……と、ふだんは地味な主役のひじきを、これでもか!! というほどの豪華な脇役で固めた、大型新人俳優のデビュー作みたいな一品(笑)で、これがめちゃくちゃ美味しいし、ちゃんとご飯のおかずにもなる。
子供の頃からひじき煮の日は、食卓の私の席に丼一杯分の黒い山が置かれていたのです。これは誇張でもなんでもなく、マジで丼一杯食う。米のようにひじきをワシワシと食べます。
それはそれは異様な光景なんでしょう。食べてる自分を鏡で見たことがないから知らないけど(笑)
私もいい大人になり、料理もそれなりに得意なので、母のひじき煮を再現することはおそらく可能なのですが、33歳になってもまだまだ甘ちゃん。ひじき煮だけは、母お手製のものを貰っています。
昨日食べた写真のひじき煮には、大豆じゃなくていんげんが入ってますね。脇役のなかにはたまに休演するヤツも、代演になるヤツもいます。今回は、こんにゃくも休演。
写真が丼でなく、少し大きめの小鉢なのは、母からタッパーふたつに分けて貰った貴重なひじき煮を、米のようにワシワシ掻っ込んだらもったいないから(笑)
コロナ禍が落ち着き、実家へ帰った暁には、ひじき煮を丼で食べたいものですね。
我が家のひじき煮は、具材も栄養も愛情もいっぱいです。今夜もありがたくいただきます&ごちそうさまでした。