こんな時だからこそ、単純に「嬉しかったな」と思う話を書きます。
私は、「自分の作品に嬉しい感想がついたらスクショして残すマン」なんですけど、本日、連載中の『そもそも恋は欲だらけ』のレビューに、
こんなコメントが書かれていました。
「漫画を読んで吹き出したのは、久しぶりでした」
……大変嬉しい言葉ですね。
東日本大震災の時、私はただの「自称シナリオライター」で、仕事なんかまったくなく、ただのバイトを掛け持ちしているフリーターでした。
寄付をすることはもちろん、「自分の作品」なんてものはなく、「自称は自称」だということをつくづく思い知り、己の無力さを痛感したことを覚えています。
熊本地震の時はゲームのシナリオを執筆させていただいていて、被災地にお住まいのユーザーの方々から「ゲームをプレイできて安心した」との声に、少しでも誰かのお役に立てたことを誇りに思うことができました。
そして、今──
新型コロナウィルスという、日本どころか世界を危機に陥れている謎の病が大流行をきたしている現状で、皆さんの気分が滅入っていると考えられる今、「漫画を読んで吹き出した」と仰っていただけるのは、ただひたすら原作者冥利に尽きるというものです。
思えば、出版業界は、コロナ以前とあまり変わらずに活動できているエンタメのひとつではないでしょうか。
私が数日前にツイートした文面でも分かる通り、
出版系のクリエイターが現状のような状況に強いな、と思うのは、
— 山口夢@そも恋・うっかり探偵 (@yume_yamaguchi) 2020年4月4日
・しばらく人と会わなくても平気
・そもそもあまり家から出ない
・収録や稽古など、人の集まる作業がない
・集客とは無縁
・暇を持て余した皆さんが本や漫画を買ってくれる
などなど、パーフェクトなんだけどコロナは滅べ??
出版業界のなかでも、特に私が活動する電子書籍方面は、そもそも打ち合わせも顔を合わせることがなく、編集者も早い段階からテレワークへ移行していました。
さまざまなエンターテインメントが自粛を余儀なくされている状況です。
私自身もオタクですから、楽しみを奪われるつらさを知っています。
楽しみがない、先行きも不安。
そんなときに、「あ~~~~、くっだらねぇなぁ」と笑っていただけたら、私の本望。
大真面目にくだらないことをやってきてよかったと、失敗と間違いだらけのこんな人生も、決して間違いではなかったと、私は思うことができるのです。
ごめんね、有事の際でも自分本位で。
でも、この仕事を選んでよかったと、今、心底感じてるんだ。
まだ、ギリギリ持ちこたえることのできている出版業界に、活動の場を偶然置いていられるからこそ、しんどい現状に身を置く誰かの、楽しみになりたい。
私のように些末な原作者が灯せる光は、線香花火のように、一瞬で儚いものかもしれないけれども。
笑ってくれたら、とても嬉しい。
私の成長は亀ペースだし、本来なら災害を引き合いに出したくはないのですが、一歩一歩、ひとりでも多くの方のお役に立てるべく、これからも一生懸命くだらない作品を書いていければと、決意を新たにする次第です。