NHK朝の連続テレビ小説『スカーレット』、毎朝大変楽しく拝見しております。
(※起きれなかった日は、昼観てるけど)
『スカーレット』の詳しいあらすじは、こちらからどうぞ。
主人公・喜美子は、のちに夫となる八郎から陶芸を教わり、今ではすっかりクリエイター夫婦となっております。しかも、「陶芸家」というまったくの同業。
私ね、この年(※33歳:小声)にもなると、周囲の友人たちから「夢ちゃん、同業者と結婚したらどう!?」なんてことをよく言われます。ま、余計なお世話なんだけど。
そういった話を振られた時、
「まったくの同業(※物書き)は絶対に嫌」
と、私が頑なに拒否る理由が、朝ドラ『スカーレット』では存分に描かれています。
「私が頑なに拒否る理由」
それは、たとえばライター同士で結婚した場合、「同じくらいの知名度」「同じくらいの収入」から関係が始まり、「同じくらいの速度」で売れて、「同じくらいのタイミング」で爆発的なヒットを飛ばし、「同じくらいの制作スピード」で作品を発表して、それもまた「同じくらいの売上」を叩き出さない限り、関係を継続させるのが、難しいと思うから。
クリエイターは、ひとりの人間である前に、結局はクリエイターであることが多い。
たとえ相手が伴侶でも、近い場所にいればいるほど、同業者が売れると悔しいもんですよ。……私に伴侶はいないけど(笑)
また、目が届くところに、上り調子の人間がいるのもつらい。
自分がまったく書けない時に、隣でサクサク書かれたらもう気が狂う。
しかも、夫婦だと24時間顔を突き合わせなきゃいけないワケじゃないですか。まさに地獄。
今現在の『スカーレット』が、実際そんなような状況ですね。
創作に行き詰まる夫・八郎と、才能に溢れて伸びしろのある妻・喜美子。
毎朝観ていると、「あああああああ」と頭を抱えています(笑)
これね、喜美子と八郎が、同じクリエイターでも、ジャンルが違ったらまだ楽だと思うんですよ。
話は少し違うんですけど、私の仕事を長年サポートして下さっているマネージメントのMさんは、自身も作曲家なんですね。
で、この方は私のスケジュール管理やギャラ交渉、営業を担ってくれていますが、私が書いた作品の内容に、あれこれ言うことはありません。
「俺、シナリオはよく分かんないから、中継役しかできないんだよね」
ずっとこのスタンス。これがありがたい。
また別の方──まったく同業種の物書き──の方を通して仕事をしたこともあるのですが、こっちはまあいけなかった。
「こんなんじゃ編集部に出せないよ、書き直し」「そういう意識じゃ売れないね、考えを改めないと」「俺は面白いと思わない」
……と、ダメ出しのオンパレード。
確かに私も新人だったし、ダメ出しのなかにはありがたいお言葉もありましたが、いざ出版社に提出してみると、修正前に戻す等、二度手間三度手間の繰り返し。
「とりあえず、まずは出版社に出してもらえませんか?」
なんて頼んでみても、この方を納得させないと先へ進ませてもらえない。でも、出版社でも修正が掛かる。永遠に終わらない修正ループ。
しんどかった。マジでしんどかった。
でもね、これ、この方がどうこうって言うより、人間って、自分が詳しいジャンルには、どうしても口を出したくなる生き物なんですよ。
下手に知識がある分、どうしてもね。あーだこーだ言いたくなる。
だからね、私とマネージメントさんの距離感くらいがちょうどいいと思うんです。
お互い、同じクリエイターとして、ある程度の気持ちは分かりながら、創作の肝の部分はあえて理解せず、下手なアドバイスができない位置にいるくらいがたぶん最高(笑)
結局、この仕事は行き詰まった時に隣で寄り添ってもらっても、背中をさすってもらっても、話を聞いてもらっても、ご飯を作ってもらっても、実際に創作へ向き合って、作品を完成させるのは自分自身ですからね。
確かにどれもありがたい。特にご飯はありがたいけども。
「ああしたほうがいいんじゃない?」「こうしたほうがいいんじゃない?」というアドバイスは、得てして役に立たないほうが多い。
むしろ、書いてる隣でサンバ踊られるようなもんです。マジで邪魔みがヤバみ。
もちろん、世の中にはまったくの同業者でご結婚されている方たちもたくさんいらっしゃいます。
でも、私は自分の器が小さいことを知ってるので。
身近な同業者がパーンッと売れたら、急激に調子が上がったら。
もだえるほどに悔しいし、妬くし嘆くし悩むし叫ぶし、たぶんこの仕事を辞めたくなって、1度は何故か踊り狂う、はず(笑)
だから、私はまったくの同業者を伴侶に選ぶ選択肢がない。
っていうか、そもそも物書きは外に出ないから出会わない。
物書き同士が顔を合わせるなんて、それこそ奇跡レベルです(笑)ツチノコと河童の対面みたいなもん。伝説 vs 伝説。Sレア vs Sレア。
喜美ちゃんも、いろんな種類のクリエイターに触れ合っていたら、八郎に対する接し方も違ったかもね。喜美ちゃん自身も、師匠のフカ先生やお弟子さんたちも、創作を心から楽しんで、行き詰まらない(※行き詰まったことを表に出さない)人たちばかりだったもんね。
行き詰まりの解決策も分からないよね。
私も、たまには同業種と交流を深めて見分を広げなくては……ツチノコ、街へ出る。
明日の朝も楽しみです。