昨日は襲い来る睡魔に勝てず、相当雑な記事になってしまいましたので(※何書いたのかあんまり記憶にない)、
ちょっと補足を致します。
20日(昨日ではなく今日)の〆切を目前に控え、連載中の『そもそも恋は欲だらけ』第15話の原作をカフェでいた私。(そして巧妙に差し挟まれる漫画の宣伝)
(買ってね!:笑)
いつも32ページ分の原稿を上げる私が、その時差し掛かっていたのは31ページの冒頭──残り約1ページ半。各話のエンディングは、次回へと繋がる大事な布石。しかも、第15話は単行本第5巻の切れ目ということもあり、読者に「マジで!! 早く!! 続きが読みたい!!」「単行本待ってられねぇ!! 分冊版買うわ!!」と思わせなければならない重要な場面。
ふだん5分しかもたない集中力が爆上がり、眠気も吹っ飛んで「いざゆかん、セリフの向こう側へ!!(?)」というところへ来て、隣に座る女の子の携帯が鳴った。
耳に飛び込んでくる会話は中国語。すんげぇ早口。
「うるせぇな」と強く思ったワケではなく、仕事の関係で始めた中国語学習が、奇跡的に毎日細々と3年も続いている私は、中国語を聞くと「自分がどのくらい聞き取れるようになったかな??」という興味に引っ張られてしまうのです。
あああ、会話の内容が気になる。しかし、私には原稿が。
また、行きつけのカフェには、最近「店内での通話はご遠慮ください」の紙が貼られたばかり。「商店里边、你不可以打电话って書いて伝えようかな?? あれ?? 可以じゃなくて可能だっけ?? それとも、别打电话??」と、気が散って仕方ない。
こうなったら奥の手として、イヤホンをインして音楽をオンじゃ!!!!
……その姿が、彼女に申し訳なさを抱かせてしまったのでしょう。
電話を切ったあとで、彼女が日本語で謝ってくれました。うるさくてごめんなさい、と。母国からの電話だったようです、そりゃ仕方がない。
そこからなぜか話が弾み、あれよあれよと3時間──一体何が起こったのか、理由はたったひとつだけ。
彼女が全然話をやめない(笑)
自分がなぜ日本に来たのか、日本で何を勉強しているのか、日本語はいつから勉強しているのか、将来はどうなりたいのか、中国はどんな国か、今中国で一番の問題は何か、etc. etc…
私が中国語を勉強していることや、仕事として文章を書く(一応)日本語のプロだということを伝えたのも、彼女のなかでは喜びが大きかったのかもしれません。
かなり達者とはいえ、まだつっかえつっかえな日本語で嬉しそうに話す彼女が可愛くて、「あの、原稿が……」とは言い出せず(笑)、そもそも納期は翌日で1ページ半なら余裕だし、まあいいやと思って初めは「うんうん」と話を聞いていました。
しかし、1時間くらい経ったところで、「日本に来て、日本人とこんなに長く喋ったのは初めて」と彼女。
留学生なのにそんなバカなと思ったけど、彼女曰く、同じ学校の生徒たちには「壁がある(意訳)」らしく、あいさつを交わす程度なんだそうです。
彼女の感じている壁が果たして本当にあるのか、実際に見たワケではないので分かりません。かなり難しい分野を勉強しているみたいなので、日本人の学生も自分のことで手一杯なのかもしれないし、ほかにも中国人留学生がいるとのこと、彼女自身も気づかないうちに、そちらとばかり仲良くしてしまっているのかもしれません。
私も海外で暮らしていた経験があるから分かるけど、同じ人種や、同じ国籍・言語・文化を持つ者同士、異国ではぎゅっと固まるからね。
なんにせよ、本当に「日本人とこんなに長く喋ったのは初めて」だとすると、彼女の話が全然止まらないのは、本心では、日本人と日本語でお話してみたかったのかなぁと思って。
そうだよね、せっかく日本に来てるんだもんね。
本来その相手役を私が買って出る義理はないのかもしれないけど、若くして母国からひとり飛び出し、異国の言葉で難しい学問を一生懸命学び、目標があって、努力もしていて、シンプルに「偉いなぁ、頑張って欲しいなぁ、いろんな経験積みたいよなぁ」と感じたので、途中から原稿を書くのは完全に放棄、彼女と話をすることへシフトしました。
両親と一緒ではありましたが、「goの過去形はwent」レベルでアメリカの現地校に通わざるを得なかった昔の私を、彼女の姿にうっすらと重ねた部分もあったのかもね。
会話はおもに日本語。
勉強や論文に必要な単語は覚えてるけど、↑↑の事情で日常会話に必要な単語はうろ覚えな彼女と、一方で、日常会話に必要な中国語を細々と勉強していた私。
彼女が日本語で分からない単語は中国語で「分かる!?」と聞かれ、私も分からない場合はアプリで調べる、あるいは漢字で書いて伝える。なんなら最終手段に英語もある。
日本語の自然な言い回しや表現を教える代わりに、中国語の難しい発音をお手本として聞かせてもらったり、とてもとても楽しくて貴重な時間でした。
相手が伝えきれない部分を頭で補って理解し、それでも足りない部分は要点を押さえて質問しながら、相手の知っている語彙に合わせて会話を組み立てていくことは、ライターとしても大変勉強になる脳の動かし方でしたね。
中国語にはない日本語の表現を、さらに簡単な日本語で説明したりね。
執筆以外の頭を使ったせいか、昨晩はぐっすり眠れましたよ(笑)
LINEも交換したし、最終的には「いつか中国を旅行しましょう!! 案内します!!」という申し出もいただいたんで、今後も仲良くしていきたいと思っております。
出会って3時間で旅行に誘われるとは、さすがの私も予想外でしたが(笑)、「日本で初めてで唯一の日本人の友達」って言われたら、どうしたってこれからも仲良くしたくなっちゃうよね。嬉しいよね。
仕事はお蔵になっちゃったんだけど、中国語の勉強を続けていて本当によかった。錆びた英語も、「せめて単語だけでも」と3年間毎日アプリやっといてよかったよ。こうなったら、韓国語もいつか使う場面が訪れることを信じて勉強を継続するしかない。
知識は世界も可能性も広げることを改めて感じたエピソードでした。
たぶん、未来に続く。