今日はこんな本を読みました。
『大正ロマン手帖 ノスタルジック&モダンの世界』(石川桂子・編、河出書房新社)
大正という時代を、髪型やファッション、化粧品、娯楽、新商品等、華やかな側面から紹介した書籍です。
100ページ少々という厚さながら、ふんだんに写真を使用し、なおかつ各項目を分かりやすく詳細に解説しているという、とても当たりな本でした。
面白かった。
私がとくに興味をそそられたのは、明治~大正にかけて創業し、今も現役で活躍されている企業の話。
たとえば、化粧品で今もお馴染みの資生堂が誕生したのは、明治5年のこと。
明治~大正の女性に大流行した高等化粧料「オイデルミン」は、明治・大正・昭和・平成・令和、5つの時代をまたいで、今もなお人気を博しています。
私、この「オイデルミン」を知らなくて、↑↑のページで確認してみたんですが、ふき取り専用の化粧水で、顔だけでなく、全身に使用できるものなんですね。
200mlで540円なら、今度使ってみようかな。
もちろん、明治の頃とは内容もだいぶ変わっているでしょうが、当時の雰囲気を味わうには、もってこいの商品なのかもしれません。
ちなみに、「オイデルミン」という名前は、ギリシャ語の「オイ(良い)」と「デルマ(皮膚)」のふたつを組み合わせた造語だそう。
「オイデルミン」って、なんか可愛い響きだよね。ピクミンとかアルミンのせいでそう思うのかな(笑)妙に日本語っぽいし、素晴らしいネーミングセンスです、「オイデルミン」。
それから、もう1社。
大正3年にミルクキャラメルを大ヒットさせ、原料の牛乳が足りなくなったという伝説を持つ、森永製菓さん。こちらは、明治32年創業。
お馴染みの黄色いパッケージは、パッと見た感じほっとんど変わってない。
森永製菓さんでは、ミルクキャラメルの前にふつうの「キャラメル」を販売しており、それを合わせると、資生堂さんと同じく5元号を股にかけて、同じ商品を作り続けていることになります。
↑↑のサイトで、「愛されて5元号記念! キャンペーン」を開催してました。
すごいことですよ、キャッチコピーの「明治時代から変わらぬ美味しさ」って。
言い方はアレですが、人はだいたい死んじゃってるのに、商品はまだまだ現役バリバリなんですから。明治人や大正人が「美味しい!」と言っていたものを、令和人の我々も「美味しい!」と言える、この奇跡。
開国するまで頭にちょんまげのっけて腰に刀を差していた人たちが、わずか数年か数十年で生き方を変え、新しく会社を興し、100年先まで愛される商品を開発するって、努力にしろ柔軟性にしろ、並大抵のことじゃないよな、と思わされる。
確かに、今の時代も、30年ほど前までは携帯もパソコンもあってないようなところから、1人1台スマホとタブレットを片手に、ARやVRがどうとか言ってるんだから、人間って案外なんでも受け入れちゃう生き物なのかもしれないけど。
それでも、文化や思考パターンが根底から覆された明治期の人々より、現代人は新しいものをすんなりと受け入れやすい下地ができていたような気がするのです。
濁流のような大きな変化を目の前にして、あえて何か新しいことを始めようとした、明治人たちの、そのチャレンジ精神。見習いたい。
100年先、5つの元号をまたいだあとにも残る作品かぁ……夢のまた夢のような話だけど、いろんなことにチャレンジして、実現できたら、これ以上ない幸せな話ですね。
毎日恒例の宣伝を挟みまして。
その他、明治~大正期に開業した百貨店も、松坂屋・白木屋・松屋・高島屋・そごう・大丸・伊勢丹……と、今でも営業している大手百貨店ばかり。
白熱電球を生産していた東京電気は現在東芝として、また、国産初の万年筆を生産した並木製作所は、現在パイロットコーポレーションとして、今もさまざまな商品を開発販売しております。
また別の書籍で調べると、出版社も明治・大正期に創業したところが多い。
明治~大正って本当にすごいな!? と。
ほんの数十年前まで、間違いなくちょんまげ頭にのっけてましたよね!? と、思わず疑いたくなるほど、時代の進む速度が半端ない。
面白い時代だなぁ、と。この時代をどうやって描こうかなぁ、と頭を悩ませております。一応、作品の資料として調べてるからね。
しかし、作品を抜きにしても気になる時代──それが明治・大正といったところでしょうか。興味が尽きません。