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物書き(小説家・シナリオライター)の山口夢です。

このジュースは私の棺桶に入れてくれ―7年越しの「縁」の話―

こちら、冬におなじみのあったか~いレモンドリンク(※7年熟成モノ)

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もちろん、冷めてる(笑)

 

これ、役者を目指していた友達が、オーディションを受けに東京へ来て、一旦地元へ帰る時、夜行バスの乗り場でおごってくれたものなんです。

「お互い夢に向かって頑張ろうな」ってペットボトルで乾杯して、私はその友達が乗ったバスを見送りました。

あの時、私は喉が渇いていなかったのか、それとも「あったまレモン」の気分じゃなかったのか、封を開けずに持ち帰ってから、早7年──

なんでもないタイミングで開けるにはもったいなく、捨てるには忍びなく、そのまんま部屋の片隅でほこりをかぶっていました。

 

……でさ、先週、大掃除したでしょ??

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仕事に使う書籍と資料以外は、服もゴミも何もかも、要らないものはぜ~~~んぶ捨てちゃったんですよ。

でもね、この未開封のペットボトルだけは、どうしても捨てることができなくて、これまでの7年間と同じ場所に結局置いとくことにしたんです。

正直、もうおそらく飲めもしないジュースのことなんか、すっかり忘れてたんですけど、捨てるか捨てまいか悩みながら、ふと、

 

「そういえば、あの人は元気だろか」

 

……なんて、7年前、バスターミナルで別れたっきりになっていた友達のことを思い出していました。いつの間にか連絡も取り合わなくなって、疎遠になっちゃってね。

 

それが昨日ですよ。夜中の1時半。

パジャマに着替えてベッドのなかで構成の続きを練ろうと思っていた矢先、携帯がジャンジャン鳴りまして。

まあ、この仕事をやっていると深夜の連絡なんか珍しくないし、「ヤベェ、編集かな?? なんかやらかしちゃったかな」くらいの気持ちでスマホを見たところ、(皆さんおおかた予想はできているでしょうが)そこには7年ぶりの友達の名前が──

最初は向こうのタップミスだと思ったよね(笑)

でも、そうじゃなくて、LINEの友達リストを眺めていて、ふと私のことを思い出してくれたんだって。

すごいよね、ほんの1週間前に私も思い出したばっかりだったのに。

「虫の知らせ」っていうと悪い予感を意味しちゃうんだけど、こういうのを「素敵な虫の知らせ(笑)」とか、「縁がある」って言うんだなぁと感じました。

 

ま、「一体なんちゅー時間にかけてきてんだよ」とは思ったけど(笑)、いつも起きてる時間だし、向こうも私なら起きてるはずだと踏んだんだろうし、ご名答だよ、実際起きてたし。

 

とりあえずお互いの近況報告をしたところ、向こうは残念ながら役者を辞めてしまっていて、しかし、それがまったく残念でもなく、別の業界に飛び込んでから、3年でかなりの結果を出して、まだまだこれから伸びていくつもりだということを教えてくれました。

7年前と変わらず、熱くて真面目でポジティヴで。

演劇に携わることも諦めてはおらず、役者とは違う形になるかもしれないけど、舞台やエンタメをゆくゆくは作っていきたいから、「そん時は一緒にやろうや!(※関西人)」なんて誘ってくれて。

私も「いいよ、やろうよ」とかなんとか、だいぶ安請け合いをしちゃったけど、このタイミングのこの縁なら、実現できちゃうような気がしたんです。

ってか、実現する。

「そん時はでっかい会場でやろな!」って話だったから、5年かかるか10年かかるか、はたまた20年かかるか分からないけど、未来に大事な約束ができたから、私は今日も頑張れるし、もっともっと頑張らなきゃいけないなぁと気を引き締めたのでした。

 

ほんとね、この電話が1ヶ月前だったらこうはならないよ??

3月に5年続けた仕事を切られ、4月からの3ヶ月間はだいぶ腐ってたし、もうこの仕事辞めよかなって、のべつ幕なし考えてたし。

そんな時に電話を貰っても、愚痴っぽくなるだけだった。「仕事ないんだよ~~~~、もう無理だよ~~~~」って。

これが7月に入った途端ですよ。急に忙しくなり始め、昨日の朝も、私のやる気に火を点けるような案件が舞い込んだばかりで、それだけでも俄然元気になっていたところに、7年ぶりのこの電話。

「タイミングよ過ぎ」と伝えると、「縁やなぁ!」と喜んでいました。

ジュースの件も伝えると、「嬉しいなぁ、縁やなぁ!」って。(※とても素直な人です)

 

いやでも、ほんとに縁。こればっかりは縁。

ね?? こうなってくると、新しい目標も実現できちゃう気がするじゃないですか。

 

……実はこの友達、友達といっても実際に会ったのはほんの数回で、出会いも7年前に私が運営していた別のブログで、コメントを交わしたのがキッカケなんですよ。

だから、友達は私のことを、昔使っていたペンネームの「ねこべさん」と呼びます。

本名で活動を始めてからほとんど使っていない名前で、「ねこべって呼ぶ人、もう2、3人しか残ってないよ」と私が笑うと、「ボクにとっては一生ねこべさんやで。そう考えると、ボクらも古い付き合いやなぁ」って、向こうも笑うんです。

会ったの数回で、7年のブランクがあるのに。

ポジティヴで明るくて、いい人でしょ?? 私の「友達」。

 

私を「ねこべさん」と呼ぶ人と、7年前のバスターミナルで別れた時と同じく、「お互いもっと頑張ろうね」と、電話を切って、しかも、あの日貰ったジュースが、まだ手元にあるという──……。

こんなこと、人生であるんだなって。あっていいんだなって。

お互いに、当時思い描いていた場所とは、だいぶ違うところに立っているけれど、まるで7年前に戻ったみたく、胸が今よりちょっとだけ若々しく弾んで、泣きたくなるほどきらきらした、夢のような時間でした。

7年前のあの頃、私は間違いなく青春の真っただ中にいて、昨日電話をしていた1時間半も、確かに青春だったように思います。

電話を切った直後のツイートがこちら。

ほんと、愛おしい人生だよ、まったく。

 

この「あったまレモン」はいろんな意味で飲めないし、捨てられなくなりました。

いつかふたりで舞台を実現した暁には、神棚に供えて柏手を打とうかな。

で、最終的には私の棺桶に入れてくれ。大事な大事な宝物だから。

 

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毎日恒例の宣伝を挟みまして。

7年前に別れたっきりの友達は、私が『せんおち』を出版したことも、『そも恋』を連載していることも、まったく知りませんでした。

これから買ってくれるみたいです。

「ねこべさん、売れてるなぁ!」という友達に、「全然だよ」と伝えると、「いや、もう売れてんねん! 売れてんねんけど、これからもっと売れんねん!」「ねこべさんは絶対有名になる人やで!」だ、そうで。

とことんポジティブ(笑)でも、嬉しいよね。

頑張ろう頑張ろう頑張ろう、いい風が吹いてきている。

 

今日も、〆切です。(※現在午前11時)

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お題「今日の出来事」