山口夢Official Blog

物書き(小説家・シナリオライター)の山口夢です。

「コスト」と「報酬」の恋愛学―谷崎潤一郎『痴人の愛』に学ぶ②―

遠距離恋愛って、どうして難しいんだろうね。したことないけど(笑)

 

どうも、昨日に引き続き、恋愛指南本に何冊か関わっているライターの山口だよ。

執筆のために、独学ながら、恋愛心理学や人類学をかなり真剣に勉強したんです。

 

そんな私が、谷崎潤一郎著『痴人の愛』をそっち方面から読んだ結果の話は、昨日のブログを参照していただいて。

blog.yumeyamaguchi.com

今日は、そのちょっとした続きを書きたいと思います。

 

さて、昨日も申しましたとおり、恋愛の基本は、

「コスト」をかけた分の「報酬」を求めるもの

……らしいのです。あくまでも独学の成果だけど。

 

つまり、時間や金、手間という「コスト」を貢いだほうが、相手に愛や見返りという名の「報酬」を求めてしまい、離れがたくなる、と。

先に惚れたほうが負けだし、尽くしたほうが結局負けになるのが恋愛の鉄則なんですよ。

負けてもいい!! 愛に屈服することこそが喜び!! ……くらいにならないと、「コスト」をかけた側は恋愛を楽しめないようです。

そう、たとえば『痴人の愛』の譲治みたいに。(※譲治に関しては昨日の記事を参照してちょ)

 

ま、オタ活も似たようなもんですよね。私、ジャニオタでお馴染みなんですけど。

ファンとアイドルは基本一方通行で、お互いの人生が交差しないから、恋愛に当てはめると、オタクが「コスト」を支払う側、アイドルはパフォーマンスによって「報酬」を返す側と、役割が絶対的に決まっているワケです。

でも、その「報酬」に満足できなくなる、あるいは、何か不満が生じると、「担降りしよっかなぁ~~~~」と、悩み始めちゃうんですが、それまでに支払った「コスト」のことを考えて、なかなか離れられないんですね。

結局、一方通行の誰かを応援する場合、支払った「コスト」については考えないようにしたほうがいいのでしょう。

恋愛に当てはめてみると、こちらはスタート地点から圧倒的敗者だし。

 

譲治さんよろしく負けをいさぎよく認め、愛に屈服し、愛することにただひたすらの幸せを見出すことが、1番楽しいオタ活なんだと思います。

個人的かつ独学の心理学的意見だけど。

 

……おっと。

あいだにオタ話を挟んだら、恋愛の要素が薄まっちまった。

閑話休題

 

話題は恋愛に戻りまして。

この、「コスト」と「報酬」理論は、遠距離恋愛にも当てはめることができるんですよ。

冒頭でちょろっと話題にしたとおり、遠距離恋愛は何故上手くいかないのか、って話なんですけど。

要するに、遠距離恋愛とは、お互いが近くに住んでいる場合よりも、会いに行くだけで「コスト」が余計にかさむものなんですね?? 時間的にも、費用的にも。

すると、より多くの「報酬」が欲しくなる。

ふつうのデートでも満足感が低いような気がしちゃうし、喧嘩なんかした日にゃ、「こんなにコストをかけたのに!!」と、不満が爆発しちゃうワケです。

だから、遠距離恋愛は上手くいかない。

 

でも、これって裏を返せば、遠距離恋愛を上手く成就させる方法は、「コスト」に見合った「報酬」を用意するってことなんじゃないかなぁと思うのです。

まあ、それもなかなか難しいし、その分の「コスト」がさらにかかっちゃうんだけど……金や時間をかけないで演出できる特別感もあるはずだし、そこは工夫できるんじゃないかなぁ?? とも、思ったりなんかしちゃったりするワケで。

 

なんにせよ、このブログを読んだ皆様には、「コスト」と「報酬」のバランスを上手く取って、幸せな恋愛ライフを送っていただきたいものです。

ほんと、バランス大事よね??

痴人の愛』の譲治とナオミのように、「コスト」>>>>【超えられない壁】>>>>「報酬」という恋愛は、下手したら人が死にますから。

「コスト」を支払ったほうが相手を殺すよね?? あるいは、「コスト」を支払い続けたほうが、耐えきれずに自分を殺すよね。

現に、作中で譲治も、

「よ、なぜ黙っている! 何とか云ってくれ! 否(いや)なら己を殺してくれ!」

──谷崎潤一郎痴人の愛 

……って、ナオミに懇願してるからね。

いやでも、ちょっと分かる気がするわぁ……『痴人の愛』を終盤まで読んだ結果、読者である私も譲治と一緒にじりじり焦らされ、「いっそ殺せ!!!!」という気分になってたし(笑)

自担があまりに格好いいと、「いっそ殺して」ってつぶやいてる時あるし(ボソッ)私には譲治の素質がある……。

 

ちなみに、譲治の「殺せ」宣言のあと、ナオミちゃんは「気〇い!」と、現代の放送禁止用語で罵ります。ま、譲治さんにはそれもご褒美なんでしょうが(笑)

 

譲治が大人しく、また、ナオミの身体の虜になっていて、相手を殺してしまったら、その身体を好きにできないことを分かっているからこそ、殺人事件に発展しないし、ナオミもそれを理解している、不思議な関係──

こういう特殊なふたり以外は、ちゃんと「コスト」と「報酬」のバランスを取りましょうね。

これが江戸川乱歩横溝正史なら、相手をはく製にするか白骨にして組み立てるか、どっちにしろナオミちゃんの命はないですよ。

これはこれで、随分と特殊な部類だけど(笑)

ほんとよかったね、ナオミちゃん。谷崎作品の登場人物で(笑)命拾いしましたね。

 

……ちなみに、私は乱歩・横溝的な展開も、谷崎的展開も、どちらも大大大好きです☆☆

別に殺し殺されたいってワケじゃないんだけど、両者とも愛の奴隷であることには変わらないからね。

愛に屈服してこそ、恋愛は美しく、また物語になるんですよ。これも個人的な意見だけど。

 

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毎日恒例の宣伝を挟みまして。

こんだけ恋愛のHOW TOを知ってるんだから、私はさぞ幸せな恋愛をしているとお思いでしょ??

それがね?? 「あ~~~~、今この人完全にコスト削減したわ~~~~」とか「コスト削ったわりに、めっちゃ報酬を求めてくるわ~~~~~」ってことが分かっちゃって、その瞬間に気持ちは一気に氷点下。

ひとりでいるほうが気が楽チン☆☆ という、ひとり街道ばく進中の32歳です。

これぞまさに、知識の弊害~~~ッ!!!(笑)

私の恋愛は物語にならない(※笑い話のタネにはなる)(そして、コメディのネタにもする)

www.yumeyamaguchi.com

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