やっと読み終わりました。
久しぶりに読んだけど、面白かった~~~~。
そして、10年前は気づかなかったけど、読みやすかった~~~~~。
大正14年の作品で、少し古い言葉遣いや仮名遣いがありますが、それに慣れてしまえば、こんなにサクサク読める作品はないと思います。
皆さんにも読んで欲しい。
女が嫌いな女No.1、ナオミの魔力。
圧倒的エロティックな文章。
もはやいっそ心地いい下僕の境地。
……まあ、どういう話かと言いますと、簡単に説明すると、「28歳の男が、15歳の少女を自分好みに育てようとしたら、逆に虜にされてしまった」という話です。
うん、そうだね。
今なら犯罪だね。
少女・ナオミが16歳の時に籍だけ入れ、形ばかりの夫婦になったあとも、旧式で亭主関白の夫婦ではなく、半ば友だちのようでもあり、いつまでも夫婦でイチャイチャし尽くしているような関係のふたり。
まあ、女性は今も16歳から結婚できるけど……。
漂う香りがやっぱりもう犯罪だね。
ナオミが可愛くって可愛くって仕方がない主人公・譲治は、ナオミのワガママを出来得る限り叶えてやり、ナオミを美しく飾り立てることばかりを考えてるんですよね。
結果、そもそも女中として雇ったはずのナオミは、家事しない・自由奔放・ワガママ三昧、そして、「譲治が自分の魅力には絶対にあらがえない」ことに気づき、自分の望みを叶えさせるためなら、媚びを売り、涙を使い、身体を使い、譲治から「恋」という感情以外のすべてを搾り取っていくという、とんでもない女に育つんです……。
怖いよぉ、ナオミ怖いよぉ。
己の美貌のゴリ押し一択、プライドエベレストで超超超上から目線。
この世に生きるすべての女性の敵みたいな女だよぉ。いや、マジで。
10年前に読んだ時もムカついたけど、10年後に読んでもやっぱりムカついたよぉ(笑)
くっそぉ~~~、結局は人間見た目が9割ってことかよ~~~~~、美人に生まれてみたかったぜ!!! という、完全なる嫉妬なんですけどね。
私には、男を下僕にする趣味はありません(笑)たぶん。
しかし、まったくなーーーー。譲治が情けねぇんだよ。
こんなムカつく女の言いなりになりやがって、と、途中まではイライラ腹立つこともありながら、終盤へかけて加速する、気持ちいいほどの下僕感、奴隷、ナオミの犬、ドMの星……等々、どんな言葉で表しても足りないような崇拝っぷりに、もはや清々しさを覚えてくるのだから、あら不思議。
譲治をとおして、私までナオミに魅了されているような気さえしてくるのです。
まあ、それがまたムカつくんだけど(笑)
考えてみると、こんなにも愛に屈服させられる人生は、ある意味幸せなのかもしれない。
そこにまた凡人は嫉妬して、ムカつくような気がする夫婦の、8年間の愛の記録。
18禁とは言わないし、別に年齢制限がついている作品ではないのですが、中身的には完全に15禁。
個人的にはノーマル禁(笑)
ノーマルな性癖しかお持ちじゃない方には変な影響を与えてしまいそうだから、たとえ成人していてもオススメはしにくい作品ではありますが、いっそ全人類にオススメしたいよね!!!
みんな変態になっちゃえばいいよ!!!!(笑)
でも、1度は酔ってみて欲しい、胸やけするような愛ってヤツに。
文章全体から、むせかえるような「何か」が匂ってくる。実際に、文章が匂ってくるような気がするから。
こんな体験、谷崎文学、とくに『痴人の愛』くらいでしかできませんよ。
毎日恒例の宣伝を挟みまして。
それにしても、男性には「少女を育てて自分好みに育てたい」っていう願望があるんかね?? 古くは『源氏物語』の若紫だってそうじゃないの。
そういう願望、女性にもあるのかしらん……って話は、また別の機会に。
今夜は落ち着いて眠れそうだぁ~~~(※毎晩寝る前に読んでいて、無性に目が冴えて不眠症化していた私:笑)