山口夢Official Blog

物書き(小説家・シナリオライター)の山口夢です。

【執筆のデスクから】コメディとは自分の常識を非常識と認めるところから始まる

……と、思う(ちょっと弱気)

 

現在めちゃコミックさんで連載中の『そもそも恋は欲だらけ』を始め、ゲームシナリオでも、何かとコメディ要素の多い作品を書きがちな山口です。

大学在学中は落語研究会に所属していたこともあり、笑いを書くのはだ~い好き。

独り暮らしのワンルームには、毎日笑いが絶えません。隣近所にしてみれば、おそらく結構なホラーでしょう。

 

それはさておき。 

とくに『そも恋』を書くようになってから気をつけていることは、タイトルどおり「コメディとは自分の常識を非常識と認めるとこから始まる」という点です。

ゲームのほうは、作品にもよりますが、基本的に実在の企業名や商品名、別作品のタイトルを出すことはできません。つまり、パロディはほぼ不可。

ぎりぎり可能なところで、昔話くらいかな??

どうしても作中でパロディやオマージュ、劇中劇を書きたい場合は、ありそうでなさそうなタイトルやストーリーを別に1本作るようにしています。ちょっと手間だけどね。

ほら、仕事の手間は惜しまないタイプだから。

 

一方で、漫画のほうは割とその辺がゆるくて助かります。

企業名や商品名も、一部伏字を用いればおおむねOK。たとえば、こんな感じ。

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(『そも恋』第001話、現在無料配信分より)

(よろしければ、無料分だけでも読んでね! リンクはこちら!!)(安定の剥き出しマーケティング

sp.comics.mecha.cc

 

『そも恋』のなかでも、結構いろんなパロディをやらせていただいております。ありがたいことです。

しかし、ここで難しいのは、「自分が当たり前だと思っていることが、果たして世間一般の皆様にも当てはまるのか」ということ。

私、いろんなジャンルのオタクじゃないですか。

たとえば、私がオタクをやっているなかでも、比較的分かりやすい『ドラえもん』で例えますと、キャラクターなら、

 

ドラえもんのび太ジャイアンスネ夫、しずかちゃん、あたりはメジャーどころ。

おそらくパロディやオマージュに使わせていただいたとしても、8割ほどの方は理解ができるライン。

でも、これが「出木杉くん」になると若干微妙。

読者がパッと読んだ一瞬でサッと理解できるかと聞かれたら、ちょーっと首を傾げてしまう。

出木杉くんかよッ」ってツッコミ、なかなか、なかなかでしょ??

 

あるいは道具なら、メジャーラインは「タケコプター」とか「どこでもドア」。

ちょっとマニアックになると「ほんやくこんにゃく」や「独裁スイッチ」。

映画版が好きな人は「ほんやくこんにゃく」を知っている可能性が高いだろうし、ダーク路線で有名な「独裁スイッチ」を知っている人も、まあまあいると思う。

 

ところがどっこい、30年来のオタクである私は、「アパートごっこの木」とか「光ファイバーつた」とか言い出すんですよ!! ほとんど誰も分かんないでしょ!?

なんなら、藤子・F・不二雄SF短編集の話もしましょうか!?  私のバイブル!!!

 

────そう、自分の常識が、世間の常識とは限らない。

とくにコメディは、パロディやオマージュの元ネタに限らず、笑いどころが伝わらないと、せっかく書いたネタがまったく意味をなしません。

もちろん、マニアックでニッチな道を突き進むタイプのコメディもありますが、私の書く作品は、そういう類のものではない。

なるべくたくさんの人に笑っていただく方向を目指しているのです。

 

面白いネタを思いついても、「待って、それマニアック過ぎない?」「8割以上の人に伝わる??」と、一旦立ち止まって冷静になることを心がけております。

ほら、映画とか。

知識は少ないほうだけど、これでも一応映画学科卒だから。

「いやぁ、『七人の侍』『ゴッドファーザー』は確かに超超超名作だけども!! 伝わんねぇ、伝わんねぇよ!! 読者層的にも!!」みたいな。

なんなら、愛してやまない金田一耕助ネタで1話貫きたいくらいだよ、読者置いてけぼりにする自信ありまくりますが!?

 

ほんとに。私の常識はみんなの非常識。

 

これはボツにしちゃったネタで、相棒の茶緒先生も知らないし、今後使うつもりもないから、ここで書いちゃうけど。

『そも恋』に登場する槍泰輔(うつぎたいすけ)は、女性をカラダの良し悪しで判断する、まあクズ男で、基本的に「おっ×い、お×ぱい」言ってるんですよ。(得意の伏字)

で、彼が脳内でおっぱ×を称える時に、お線香「青×」のCMソングをパロディにしようと思いついて、

 

おっ×い それは 君がみた光

ぼくが みた 希望

×っぱい それは ふれあいの心

幸せの 青い雲 ×雲

 

……まで考えて、それこそ膝から崩れ落ちるほどひとりで爆笑したんですけど(※基本的に執筆中はテンションが高いしゲラ)

ふれあいの心て(笑)ちょうどよ過ぎるわ。

しかしながら、よくよく冷静になってみると、「青×」のパロディを理解できる人が、この世に8割以上いるのか、とてもとても疑問に思いまして。

それは私が落研出身で、『笑点』を好きでよく観ているから「×雲」の歌もそらで歌えるんじゃないか!?!?!? と。(※「青×」のCMは『笑点』で必ず流れています)

で、やめました(笑)

あ、最後の1行が本物の歌詞そのまんまなのは、そこまでパロディにしてまうと、本来元ネタが分かる人にも分からなくなってしまうから、です。念のため。

 

大学の授業で、「芸術とは、自分を否定して否定して否定して……すべてを否定した先にあるもの」だと教えられましたが、教授が言いたかったことはぜっっっったいにこういうことじゃないにしても、私は今、私自身を否定しながら作品を書いています(笑)

客観的な視点って本当に大事。

今後も1歩引いた冷静な立ち位置から、面白いコメディを書いていけたらなぁと思っております。

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