愛用の日傘です。おしゃんでしょ??
母親にプレゼントしてもらったものなんですが、骨もしっかり裏地もしっかり。和柄だし、大好きなオレンジ色だし、お気に入りです。
私は、この傘を雨の日以外ほとんど毎日持ち歩いています。
ご存知の方もなかにはいるかと思いますが、私は紫外線を浴びることができません。
いわゆる日光アレルギー。
日差しを浴びると、肌にぶつぶつと蕁麻疹ができて、ひどい時は細かい蕁麻疹が全部1個に繋がった挙句、全身真っ赤に腫れ上がります。難儀な体質です。
……とにかく、日傘族は肩身が狭い。
今のような時期はとくに、「なんで冬でも日傘差してんだよ、気取ってんじゃねぇよ」……と、直接言われたことはありませんが、そう思われたくはない。
混雑している街中では、すれ違う人の視線が痛い……気がする。
そういう場合、20分くらいはなんとかなるだろうと踏んで、傘を閉じることもあります。なるべく人の少ない道を選ぶし、邪魔にならない傘の差し方も心得ているつもり。
被害妄想と言われるかもしれないけど、長年日傘を差してきた人間から言わせてもらえば、晴れた日に傘をさしている人間は、まだまだ「美白とか意識しちゃってる自意識過剰の勘違い女(男)」というイメージが強いと思うんです。
ちょっと前にあったよね、「ブスが日傘差してんじゃねぇよ」ってツイートが話題になって、炎上したこと。
まあ、私はそういうタイプの人間にわざわざ突っかかって「理解してください!!」と、声高に主張することはせず、「ごめんなwww ブスが日傘差してwww 命に関わんのよwww」って笑っちゃうんだけど。
だって、極論じゃん。笑っちゃうよね、すごい考え方するなぁって。
まあ、どっか他人事みたいな視点を持っているからこそ、この仕事をしているのかもしれません。たぶん。
ああ、でも、あれはちょっと悲しかったな。
私が直接言われたワケじゃないんだけど、Twitterのオタクアカウントで、フォロワーさんがツアーに行ったらしいんですね。
そのグッズ列か入場列に日傘を差している人がいたようで、「日傘邪魔なんだよ、死ねよ」ってつぶやいてたんですよ。
確かに、その現場で日傘を差していた人は、紫外線アレルギーでもなんでもなく、いわゆる一般的な日傘のイメージである「自意識過剰クソ女」なのかもしれないけど、私と同じく、あるいは、もっとひどい症状が出る重症患者かもしれない。
または、私も知らない特別な事情を持つ、日傘が必要な人なのかもしれない。
そういえば、去年こんなこともありましたね。
電車のなかで、私の着ていたコートのフードがぶつかったという理由から、いきなり40代くらいの男性に背中を殴られたことがあって。
その時も、いちゃもんをつけるいい理由が見つかったと言わんばかりに、「この傘はなんなんだよぉッ、テメェはよぉ!!」と、怒鳴られました。
その日も、もちろん晴れていましたね。
晴れている日に傘を持っていると、ワケの分からん絡まれ方をすることもあるんですよ。
これはかなりのレアケースとはいえ(※ちゃんと謝ったのに引き続き怒鳴られたため、私も応戦して言い返したし。反省)、嫌な思いはあまりしていないとは言いながらも、それなりにしょんぼりすることに遭遇しているもんなんです。
ね?? 私が「日傘に対してまだまだ偏見があるなぁ」と感じてしまうことも、無理はないなって思うでしょ??
何が言いたいかって、このアレルギーを理解しろとか、気持ちを分かって欲しいとか、そういうことではなく。
アレルギー様だぞ、どやどやと、大手を振って歩きたいワケでもない。
ただ1つ。
自分も肝に銘じたいことではありますが、今よりも少しだけ想像力を働かせていただきたい。
「自意識過剰クソ女め」と舌打ちをする前に、怒鳴り散らす前に、「死ね」とつぶやく前に、何か、日傘を差さなければいけない事情があるんじゃないか?? と、立ち止まって考えるだけの想像力が、世の中に欲しい。
そうすれば、世界はもっと平和になる。と、思う。
これは、日傘だけの問題ではなく、さまざまな病気、アレルギー、体質……いろんなことに当てはまるでしょう。
最近、Twitterでは多く取り上げられていますね。
聴覚障害の人のヘッドホンとか、吃音とか、パッと見元気な人にも、それぞれ事情があって、悩んでいるんだよ、ということが拡散されています。
その一方、同じTwitterで「日傘死ねよ」と、つぶやく人もいる。
要するに、気づきと想像力だと思うんです。
「事情があって日傘を差す人もいるんだな」という知識があれば、あるいは、それを想像する力さえあれば、気づきに繋がり、そんなことを軽々しく言えないようになると思うんだよね。
そして、これは結構重要なことだと思うのですが、あなたもこちら側に来ることは十分にあり得るんですよ、と。
私が紫外線アレルギーを発症したのは、17歳の時でした。
完っ全に対人関係によるストレス。しかし、1度発症したら、一生お付き合いしていくのがアレルギーです。花粉症も治んないでしょ?? 離婚できないんです、アレルギーちゃん一途かよ。
以来15年間、私は日傘族として生きています。
テレビ制作会社でADとして働いていた時は、薬服用で外ロケに出ていました。
でも、薬と日焼け止めじゃどうしてもまかなえない部分もあるんです。
真夏の炎天下でロケをしていたら、頭皮と眼球がパンパンに腫れちゃって(笑)そりゃあそうだ、眼球と頭皮は日焼け止め塗れないからね!!
ま、今は超超超インドア生活のため、蕁麻疹とは縁遠い生活を送っています。やったね。
しかし、私もこのアレルギーを発症しなかったら、街中で日傘を差している人に対して、「邪魔くせぇな」くらいは思っていたのかもしれない。
それを考えると、気づきの1歩を与えてくれた紫外線アレルギーには、ちょっと感謝をしています。
黒かった肌が、色白になったし。日傘差す系のブスではありますが(※嫌味です)、色白になって七難隠れてくれたおかげで、少しはマシになってんじゃないですかね。知らんけど。
──そうそう、今でも晴れた日は好きですよ。
今朝も朝食のパンを買いに行く時、「いい天気だなぁ」と気分がよくなりました。もちろん、日傘は差してますが。
愛用の傘をくるくる回しながら、「そういえば、日傘との付き合いも長くなったもんだ。君、4代目? 5代目?」と、ふと思い、こんな記事を書いた次第です。
どうか、相手を責める前に、1歩立ち止まって想像する時間を設けてください。
その相手が、なんらかのマナー違反をしていた場合、それを注意する分には、まったく問題はないかと思いますが。
それでも、相手の事情を慮るくらいの、心の余裕は持っていて欲しいなぁ。
……えっ?? 何々??
「死ねよ」ってつぶやいてたフォロワーさんは、その後ちゃんとフォローを切ったのかって??
いいえ、「死ねよ、とか短絡的に言っちゃうタイプの人間」を観察するため、たいして会話もしないクセに、ばっちりフォローし続けております。
いやいや、当然観察するでしょ。こんな上質なサンプル。
……う〜ん、性格が悪いッ!
(※日傘どうこう抜きにして、お前そもそもクソ女じゃねぇか!! というオチにしたいワケではありません。あしからず)(上手いこと繋がったなんて思ってないよ)