昨年末、漫画『そもそも恋は欲だらけ』の連載をスタートさせましたが、
この物語は、あらすじを読めば分かるとおり、
「金で男を選ぶ女」vs「カラダで女を選ぶ男」
……という、欲望に忠実なクズとクズが恋の火花を散らす、8割コメディ寄りのラブコメなんです。(※個人的には9割9分コメディ寄り)(ラブを忘れないように、編集さんからすでに釘を刺されている)
お金大好き女子は紅葉(くれは)ちゃん、脳と下半身が直結してる系男子は泰輔(たいすけ)くんって言うんですけど、まあ~泰輔が泰輔だから。
結構な量の下ネタがね、作中に登場するんですよ。
え~っとねぇ……私、
めっちゃくちゃイキイキと下ネタ書いてます!!!
なんでだろ、これまで書いてこなかったジャンルだからでしょうか(笑)
さすがに企業様からご依頼いただいている乙女ゲームのシナリオで、フルスロットルの下ネタなんて書けませんからね。
ってか、フルスロットルどうこうじゃなく、そもそも下ネタ全般NGだわ。
やっぱだからかな?? 『そも恋』で泰輔のアホみたいな脳内を書いている時が、本当に楽しくってしょうがない。まるで水を得た魚のよう、ゲラゲラ笑いながら執筆してる。
でもね、勘違いしないで欲しいのは、私は別に下ネタが好きなワケじゃないんですよ。
飲み会なんかで嬉々として下ネタを振って来るような男を見ると、「うわぁ、この人それ以外で他人とコミュニケーション取れないのかな、かわいそ」って思っちゃうクチなんですよね。
逆(女性⇒男性)もまたしかり。
同性同士、あるいは性別の枠を超えた友だち同士でも、「え、今なんでその話したんだろ、この人」的な感じで、1回ちょっと思考が停止する。「ほかに笑い取る方法なかったかな?」って。
……だからと言って、下ネタが嫌いなワケじゃないっていうのも不思議なところ。
だって、イキイキと書いてゲラゲラと笑ってますからね??
そう。
好きなワケでもないし、嫌いなワケでもない。
なんとなくですが、世の中の大半の人が抱く「下ネタ」に対する感情って、こんな感じなんじゃないかなぁと思うのです。(※個人的見解です)
じゃなきゃ、文化としてとっくに廃れているはずなんだよね。
江戸時代の小噺とか古典落語のなかには、結構な……そりゃあ結構なド下ネタがあるんですよ!!(※気になる人は『錦の袈裟』とか『蛙茶番』で調べてみよう)(責任は取らない)
下ネタ、というか、下世話な話って、究極にバカバカしいから、面白いことは面白い。
では、なぜ「好きなワケでもないし、嫌いなワケでもない」という曖昧な感想になってしまうのか。
それはおそらく、「下心の有無」である、と。
会話のなかで他人に振る類の下ネタには、多かれ少なかれ「下心」が混じっている。たとえ話を振った本人にそんな気はなくとも、受け手がそれをどう取るか、は、また別の問題。
下心が含まれている(または、含まれていると受け取られた)笑いは、カラッとしてないんですよ。カラッとしたバカバカしさがない。
なんていうか、ネチッとしてる。
「ネチッとした下ネタ」って、字面だけでもう最悪じゃん??
先程例に挙げた古典落語の『錦の袈裟』や『蛙茶番』は、めちゃくちゃカラッとしていて、とんでもなくバカバカしいのです。だから、心置きなくゲラゲラ笑える。
会話に含まれる下ネタは、どうしたって他人のパーソナルスペースに踏み込む笑いであり、受け手の感性によるところが大きい。
昨今の世情もかんがみると、下ネタはすでに会話のなかに織り交ぜる類の笑いではないのかもしれない。
その場の誰をも不快にせず、下ネタを笑いに昇華できる人間は、相当腕のあるひと握りの人間に限られるのではないでしょうか。
飲み会で下ネタを振ってくる人に対して「かわいそ」と思ってしまう話はさっきしましたが、それと同時に「ご自分がそのような腕をお持ちであると!? 猛者!!」とも思ってしまう。
しかし、本当の意味での猛者に会ったことは1回もありません。
あまりに度が過ぎる場合は「会社でもそんな感じなんですか?? 訴えられないといいですね(ニコッ」と嫌味の1つも言うんだけど、だいたい「俺(私)、そういうの大丈夫なタイプなんで」って返ってくる。
君の頭が大丈夫か。
しかし、だからこそネチッとした下ネタが言えるんだよね、分かります。
ってなワケで、私も作品以外で下ネタを言うことは、まあほぼありません。そこまで会話の腕に自信ないし。
ただ、作中で下ネタを書く時は思いっきりバカバカしく、躊躇なく、助走をつけて読者を殴りにいく勢いで下ネタをかましています(笑)
だってー、ネチッとしてるって思われたくないもん。
まあ、それでもやっぱり受け手の感性は人それぞれだから、私の書く下ネタを不快に思う方も一定数はいるのでしょう。そこはもう申し訳ないけど、どうしようもない。
合う合わないの問題だし、面と向かって会話する飲み会とは、さすがに母数が違い過ぎる。すべての人の感性に100%合わせていくことは、どうしたって不可能なのだ。残念ながら。
(そういったものを抜きにしたうえでの)意気込みとしましては、究極にカラカラッとした、最高にバカバカしい笑いを目指していくつもりです。
人前で笑うのがはばかられるようなネタも一部あるとは思いますが、ひとりでゲラゲラと笑っていただければ幸いでございます。
何しろ、漫画だからね。
会話のなかに織り交ぜるのは不向きだからこそ、漫画のような媒体で、ひとりこっそり楽しむ分には、下ネタも悪くはないんじゃないかと、思ったり思わなかったり。