どうも、宣言どおり即身仏の話を3日続けてアップした結果、アクセス数が爆下がりした山口です。
うん、だろうね!? ……ということで、今日はもうちょっとニーズのありそうな旅行譚を書きたいと思います。ちなみに、酒田市・鶴岡市の即身仏をめぐって歩いたシリーズ「即身仏を訪ねて」は以下のページを参照してください↓↓
まあ、まさかね、いくらなんでも山形まで行って即身仏だけ見て帰るようなことはないんですよ。ほかにもちゃんと観光はしております。
……ってなワケで、実際のスケジュールどおりではありませんが、本日は山形県鶴岡市にある旧風間家住宅・丙申堂について────とりわけ、明治・大正期の金庫のお話を書いていきたいと思います。(ま~た随分とマニアックですね!)(そうですね!)(懲りない!)
風間家は、資料によりますと、「庄内藩の御用商人で、後に鶴岡一の豪商となり産業の振興に力を注いだ」そうで、丙申堂は「明治29年、武家屋敷跡に住居兼店舗として建てられた」ものだそうです。
ここの見どころは、なんといっても「石置屋根」。冬場の雪や寒さが厳しく、ふつうの瓦では耐えられないようで、このあたりでは瓦の代わりに小石を使った石置屋根が、古くは一般的だったそうです。
百聞は一見にしかず。はい、どん!
ね? 石でしょ?
この石置屋根、今ではここともう1ヶ所しか残っていないという話でした。屋根の葺き替えを撮影したドキュメンタリーを観ましたけど、こりゃ大変ですよ。石4万個。
21世紀になっても手間なんだから、廃れてしまうのも納得は納得だし、これを未だに維持している丙申堂さんは、とんでもないご苦労をなさっていることでしょう。それをたったの400円で見られるなんて、ありがたい話です。
でね、イチ押しの石置屋根も大変興味深く拝見させていただいたのですが、私がもっとも興味を惹かれたのは、金庫蔵! 金庫蔵って響きがすでに素敵!!
この金庫蔵には計4つの金庫が置かれており、3つが日本製、1つがベルギー製のもので、とくに注目すべきは日本製の金庫! はい、どどん!
さらに拡大して、どーん!!!
見てください!! ダイヤルが! カナ文字なのッ!!
うわ~ッ、テンション上がるわーッ!!(ブログを読んでくださっている皆さんとの温度差を、記事を書いてる時点でなんとなーく感じてる山口)
それというのも、私は今、大正時代を舞台にしたミステリーを書いてるんですよ。
構成を始めたことは、以前ブログにも書きましたね↓↓
もうね、そんなときにこんな金庫見ちゃったら、そりゃ~話のなかに金庫出てきますよ、むしろ話の肝ですよ! しかも、カナ文字だよ!? 組み合わせによっては、数字式ダイヤルの100倍くらい意味を込められるじゃないですかッ、やだ~もぉー楽しい!!
……でもね、あとから「あれ? カナ文字式の金庫って、どこかで読んだ覚えがあるな??」と思って調べてみたら、金田一耕助シリーズの『夜歩く』でした!(また金田一耕助の話してるとか言わない!)(言わないで!)
「屋代、このダイアルのほうは君にまかせる。この金庫は仮名三字の符号になっているんだ。何んでもいい、三字の言葉を思い出して、ダイアルをまわしておいてくれ」
直記はそういって、ダイアルの符号のかけかたを教えてくれた。このダイアルの周囲には、どれにもいろは四十八字が彫ってあって、それによって言葉をつづるようになっているのである。
────『夜歩く』
これを読んだ時は、『夜歩く』のために作られた創作の金庫だと思ってたんですよ。上記のように、やたらと丁寧な解説つきだったし。
ところがどっこい、実際の金庫もカナ文字式だったとは!! 横溝先生もそう仰っておいてくれたらよいものを!!
ちなみに、私が金田一耕助さんへの惜しみない愛を語っている記事は以下を参照してください↓↓
とくに、私のブログを読んだ友人が「②のオタクっぷりがヤバい」と言っていたので、皆さんどうぞ②のほうを進んで読んでくださいますよう、よろしくお願い致します。(ヤバいほうを勧めていくスタイル)
最後に、話を丙申堂の金庫に戻しますと、ロマン溢れるエピソードがおまけについておりまして。
……なんとね、この金庫、4つ中3つが開いてないの!! 開かないの!! 開け方分かんないんだって!!
待って、もう夢しかなくない??
100年以上開いてないってことでしょ? これ聞いてワクワクしない人いる!?(いるのは分かってる)
持ち主の方が無理に開けることを望んでいらっしゃらないようで、そのまんま放置しているのだそうです。唯一開いている金庫も、偶然開いちゃったとのこと。
あ~っ、何入ってるんだろうねぇ? 想像するだけで5年は楽しめる案件ですよ。
いつか実際に開いたとして、たとえ中身が空でも「あちゃーっ、空だったかぁ~!」ってニッコニコできちゃうくらいには、金庫自体にロマンが詰まっていると思いません!? 思います!!(中身がたとえば春画だったとしたら、未来永劫開いて差し上げないで欲しいなぁと思ったことは内緒)(だいぶ序盤にその選択肢が出てきた私は、きっと頭がどうかしている)
願わくば、金庫を開ける場面に立ち会いたいものですね。
中身も気になることは気になるけど、扉が開いた瞬間に、金庫のなかの空気を吸い込みたい。100年密閉されていた空気で肺をいっぱいにしたいんだ、私は。(変態と言われても構わない、むしろ喜んで受け入れていくタイプ)(そして、現実的なことを言うと、100年前の空気は絶対にかび臭い。それでもいい、吸いたい。100年の時を超えた空気に触れたい)
山形県鶴岡市・丙申堂────いろんな意味で、ワクワクできる建物です。
勉強させていただきました!!